■No.37   H17.3.10発


 先日新聞を見ていましたら新国立劇場では昨年8月に俳優養成コースを開き、初めて公的支援による養成に乗り出したということが書いてありました。 これまでは、権力側から支援を受けることは潔しとしない、とりわけ「国の関与」に抵抗感があったといわれる演劇界が曲がり角を迎えたというのです。
 一方、海外ではどうかというと俳優養成に熱心なイギリスやフランスの俳優学校では予算の大半は助成金であり、演劇を国民の一つの歴史的記憶の装置として考え、 自国文化の蓄積や美しいフランス語の伝承などの手段となっているそうです。さらに、アジアにおける演劇教育においても、最近は韓国、中国、シンガポールでは、 国の全面的な支援を背景に成果を挙げつつあるといわれ、それと比較すると明らかに日本の取り組みは遅れているのです。 しかし、日本でも2001年に成立した文化芸術振興基本法を支えとして、良質の舞台は国民の心を豊かにし、日本の文化水準を世界に知らしめ、 演劇振興は「国益」につながると演劇界のみならず一般的にも考えられるようになっているのです。
 また、視点を変えると最近はコミュニケーションを周囲とうまく取れない子どもが目立ち、その解決策として、 感情表現に軸を置いた演劇教育が注目されているそうです。さらに「演劇で身につけたことを、俳優としてでなく、教育者として広めていく人が出てきてもいい」 という別の効用について説かれる識者もおられるのです。そこで本県における演劇振興の取り組みを見ると中島高校の演劇コースが有名ですが、 仲代達也さんの「無名塾」との連携は、とても幸運でありかつ素晴らしいことです。 これからの県内の演劇振興に期待がかかりますが、県内の他の学校もこれに負けず、工夫をしながらユニークな学校作りを目指すことを、 この少子化の現代、おおいに願うものです。


(H17.3.10)